研究発表会



◆ 第15回研究発表会
宗教心理学的研究の展開(15)
―宗教心理学的研究の最前線―

  •    日本心理学会第82回大会:2018年9月25日(月)〜27日(水)
  •    日時:2018年9月25日(月) 15:30〜17:30
  •    会場:仙台国際センター
  • 企画趣旨
  • 宗教心理学的研究はどのような広がりを見せているのだろうか。日本では,宗教心理学は決して活発とはいえないことから,宗教心理学を専門分野としていたり,宗教性,スピリチュアリティといったテーマに関心を持っていたりしない限りは宗教心理学的研究の動向を知る機会はほとんどないように思われる。そこで本シンポジウムでは,近年,海外において活発に議論されている研究テーマを含め宗教心理学的研究の新たな動向について紹介したいと考えている。今回取り上げるテーマは「破壊的カルト」「職場のスピリチュアリティ」「宗教認知科学」「北米心理学における宗教研究」の4つであり,宗教心理学的研究が様々な領域に広く展開していることを示したいと考えている。宗教心理学的研究の最前線を紹介することにより,この分野が持つ可能性を検討し,さらには日本における宗教心理学的研究の新たな展開についても討論する機会を持ちたいと考えている。

  • 企画・司会 松島公望(東京大学)

  • 話題提供
  • 1.木村真利子(立正大学)
  • 「破壊的カルト」研究の動向
  • 「カルト」あるいは「破壊的カルト」と称される一部の宗教団体は,その勧誘方法や集団運営方略をめぐって社会との葛藤を生み出してきた。特に心理操作(マインド・コントロール)の問題については,心理学的な研究も決して多くはないものの蓄積されてきている。本発表では,破壊的カルトにおける心理操作の使用と入会,メンバーシップの維持,そして脱会過程に関する昨今の研究を概観する。
  • 当日資料
  • 2.今城志保(リクルートマネジメントソリューションズ)
  • 「働く日本人にとってのスピリチュアリティ」
  • 近年,米国の経営学や経営行動学では「スピリチュアル」なリーダーシップやワークプレイスに関する研究が行われており,概ね従業員にとっての望ましい効果が報告されている。一方で宗教や信仰に関する態度が異なる日本人にとって,職場の「スピリチュアリティ」はどのような意味があり,どのような効果が期待できるのだろうか。働く人を対象とした調査をもとに,日本の職場における「スピリチュアリティ」の可能性について論じる。
  • 当日資料
  • 3.藤井修平(東京大学)
  • 「宗教認知科学の可能性」
  • 宗教認知科学は21世紀初頭に誕生した,認知科学と心理学,宗教学の複合による新分野であり,認知心理学的知見を応用した実証的なアプローチで宗教的信念の性質や発生・伝播のプロセスを解明することをその主眼に据えている。現在欧米ではこの分野の下に多くの研究者が参加し,着実に成果が上げられている。本発表ではこの宗教認知科学の現状を概観し,今後の展開や学際的研究の可能性について考察を行う。
  • 当日資料
  • 4.イーリャ・ムスリン(日本大学)
  • 「近年の北米心理学における宗教研究の現状と課題」
  • 本発表では,近年の北米心理学理論における死と宗教の捉え方に注目しながら,宗教研究の現状と課題について考察する。特に,北米の心理学者らによる宗教の存在理由やその機能,特殊性などに関する議論の中で,死の意味や位置がどのように捉えられてきたのかという,死と宗教の関係に関する理論的問題に焦点を置く。
  • 当日資料