研究発表会

◆ 第4回研究発表会
宗教心理学的研究の展開(4)
−心理学に根ざし、社会寄与を目指すには−

  •    日本心理学会 第70回大会:2006年11月3日(金)〜5日(日)
  •    日時:2006年11月3日(金) 15:30〜17:30
  •    会場:福岡国際会議場 402会議室
  • 企画趣旨
  • これまで心理学において稀有な存在であった宗教心理学的研究が、今日、徐々にではあるが一つの確固たる領域として認知されはじめている。それを表すものとして、この日本心理学会年次大会において、「宗教心理学的研究の展開」と銘打ちシリーズとして過去に3回のワークショップが行われてきた。そこでは宗教心理学的研究に関し、第一回目は“歴史と現状”、第二回目は“研究方法の検討”、第三回目は“宗教意識研究の現状”をサブタイトルとする発表ならびに討論が行われ、宗教心理学に関心をもつ人々の貴重な情報交流の場となった。
  • そこで本ワークショップでは、同じくシリーズの第四回目として、“社会寄与”に焦点を当て議論の場とすることを試みる。研究が真に意義のあるものであるとき、それはいかなる形でか社会への貢献を為し得るものであり、言い換えれば、社会に求められるものが研究の対象として浮かび上がることが一般的である。つまり研究の存在目的には社会への貢献があると言え、また、社会への貢献を目指すとき、そこにはある程度の科学性、あるいは普遍性が求められることとなる。この場合の科学性とは、主観のみに依存することなく、コンセンサスの得られやすい知見を導出するための、客観性の高いプロセスのことであり、普遍性とは、得られた知見に対する了解可能性、つまり知見の適用範囲の大きさのことを指している。そしてこの科学性ならびに普遍性が必要水準を満たす場合において、得られた知見は社会に対する貢献の可能性をもち得ることとなる。
  • 人間一人一人のこころの営みを研究材料として扱い、科学性や普遍性を主張しようとする心理学において、宗教心理学的研究がとらねばならない視点、方法論、展望などを議論することは、宗教心理学の社会寄与の可能性を検討し、ひいては存在意義を確かめることともなる。何を目的として研究を行うのかという視座を明確にすることにより研究の方向性の拡散を防ぎ、目的を達成するために最も適切な方法論を探索、吟味するプロセスを経ることによりある程度の科学性が保たれ、展望の方向性が明示されることにより研究の意義が示されることとなる。ただし、心理学という一つの学問もその領域は多岐にわたり、宗教心理学がその中で一つの領域としてまったく他から独立して成立することは難しい。さらに、宗教に関連する心理的変数もまた多岐にわたり、様々な領域の見地ならびに解釈が不可欠となる。そのため、今回のテーマを広く考察するには、各心理学領域からの提言や主張を汲み取らねばならない。
  • セッション構成は、まず3名の話題提供者より、各々の領域立場における研究報告または概説が行われ、次いで指定討論者より論点整理と問題提起が行われる。そしてそこで浮かび上がった問題に対し、フロアを交え、偏向のない議論へと展開させてゆく。

  • 企画者 西脇良(南山大学)  松田茶茶(神戸学院大学大学院)

  • 司会 西脇良(南山大学)

  • 話題提供
  • 1.藤島寛(甲南女子大学 / 性格心理学)
  • 『宗教次元とパーソナリティの関係から−相関係数やパス係数の低さを越えて』
  • 当日資料
  • 2.徳田英次(桐蔭横浜大学 / 臨床心理学)
  • 『宗教心理学的理解と臨床心理学的理解の相互刺激性−宗教体験と心理療法体験の相互乗り入れの実態から』
  • 当日資料
  • 3.川島大輔(京都大学大学院 / 発達心理学)
  • 『生と死を結ぶ宗教という物語:浄土真宗をフィールドとした調査からの一報告』
  • 当日資料

  • 指定討論者 森岡正芳(奈良女子大学 / 臨床心理学)



  • サブウィンドウを閉じる