2012年度科学研究費補助金・研究プロジェクト



宗教性/スピリチュアリティと精神的健康の関連
−苦難への対処に関する実証的研究−



研究目的


  • 宗教性/スピリチュアリティと精神的健康(ウェルビーイング・不安)との関連について実証的に検討する。さらに,東日本大震災を受け,日常的な不安のみならず「死の不安」や「来世への態度」など死に対する態度も取り上げ,宗教性/スピリチュアリティとの関係を探る。また,精神的健康と結びつくストレス関連成長(SRG)を取り上げ,宗教性/スピリチュアリティが精神的健康にどのように関連するのか(苦難への対処となるのか)を実証的に明らかにする。その目的を達成するために,[1]数量的研究班,[2]質的研究班の2班を設置し,数量的調査では質問紙調査および実験研究を行い,質的研究では面接調査を行う。こうした一連の研究を通して,日本における宗教性/スピリチュアリティと精神的健康の実証的研究の礎を作ることになるであろう。


  • 研究計画・方法


  • 本研究の目的を達成するために,@総括管理,A数量的研究班,B質的研究班の3部門を設ける。数量的研究班は質問紙調査/実験研究を行う。質問紙調査では,特定の信仰を有しない日本人(一般日本人)および宗教教団に関係する日本人(宗教者)を調査対象とし,宗教性/スピリチュアリティと精神的健康との関連を明らかにする。実験研究では,宗教的実践を取り上げ,宗教的実践がどの程度宗教者の精神的健康に影響を及ぼすのかについて効果測定を実施する。質的研究班では,宗教的ケアを行う宗教指導者およびそれを受ける関係者(信者/一般日本人)の両方に面接調査を行い,それぞれが考える促進要因−阻害要因から何が精神的健康に影響し,ストレス関連成長(SRG)につながるのかを検討する。これらの調査を通して,日本における宗教性/スピリチュアリティと精神的健康の実態を明らかにする。